疎行列を係数とする最小二乗問題の精度保証付き数値計算法について疎行列を係数行列に持つ問題は偏微分方程式を離散化した問題や実問題などに広く現れる.精度保証付き数値計算法においても疎行列を係数とする問題を効率よく誤差評価する方法は重要である.最小二乗問題の精度保証付き数値計算法はQR分解を用いた方法が広く用いられている.しかしながら,Qは一般に密行列となり疎行列には向かない方法となっている.そこで,LU分解を用いた最小二乗問題の精度保証付き数値計算法を提案し,様々な疎なテスト行列を用いて提案手法が有効であることを数値的に示す.
実対称行列の全固有値に対する精度保証法と区間への拡張本発表では,実対称行列の全固有値に対する精度保証法について述べ る. 我々は,固有値を包含する新しい誤差評価式を提案し,スーパーコンピュータ上 での実装を行った. また,大規模行列に対する速度と精度に対する数値実験結果を紹介する. その際,電子構造計算で生じる固有値計算への応用結果を紹介する. 最後に,与えられた対称行列が区間行列のときの精度保証法について述べる.
3項漸化式を用いたガウス求積における分点と重みの精度保証法多数(100以上)の分点を用いるガウス求積法において、厳密な分点と重みが倍精度浮動小数点数でも計算可能となる精度保証付き数値計算法を提案する。 基本となる方法は古典的なGolub-Welschのアルゴリズムと呼ばれる方法で、直交多項式についてBonnetの三項漸化式に基づき三重対角のヤコビ行列を生成し、その行列の固有値、固有ベクトルを求め分点と重みを計算する方法である。 本研究では、固有値、固有ベクトルを精度保証付きで求めることで厳密な分点と重みを包含する区間分点と区間重みを高精度に生成する。
簡易Newton法の収束定理からみた偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算法偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算法は様々な手法が提案されている。 本講演では簡易Newton法の収束定理を出発点として,今までの偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算法を統一的にみる手法を提案する。
Nakao et al. (2005) 最後の謎この論文には未だ解明されていない謎が残されている! 我々探検隊は幾度となく,この人跡未踏の謎に挑戦した! しかし,そこには我々の考察を拒絶する,さまざまな罠に満ちていた!
研究は常に挫折と隣り合わせにある! 一歩,数学の世界に踏み込めば,一瞬の油断も許されない! 微妙な収束性の洗礼を受けながらも,探検隊はひるむ事なく突き進んだ!
そして遂に見た!数値解析とは思えぬ等号の成立!ノルムの下側評価! 我々が発見したのは,未だ人の世に知られていない定理の存在であった! 今語られるのは,我々探検隊が歩んだ十余年の長きに渡る冒険の歴史である!
計算幾何と精度保証付き数値計算本発表では,精度保証付き数値計算法の計算幾何学への応用について 述べる. まず,計算幾何の初等判定問題に対する精度保証付き数値計算法として,浮動小 数点フィルタと高精度数値計算法を紹介する. 次に,精度保証付き数値計算をど のように計算幾何学のアルゴリズムに適用するかを述べる. 具体例として2次元凸包への適用例を紹介し,精度保証に必要な手間は一部のアルゴリズムに対して 無視できる程度であることを示す.
多義立体の形状モデリングと退化した入力多義立体とは,複数の視点から観察したときに"異なる形"に見える立体である. 本発表では,「どこから観察するとどうような形に見えるか」を二組指定し,それを満たす多義立体を 作成する問題を考える.特に,線画を用いて形を指定し,ワイヤー状の多義立体を出力する問題を考える. また,この問題に対する基本的構成法やこの問題に現れる最適化問題について述べる. そして,退化した入力がもたらす特殊性について議論する.
局所Lyapunov関数の構成とその応用局所Lyapunov関数の精度保証法による構成法は、与えられた力学系の平衡点が双曲型、すなわち平衡点における方程式右辺のヤコビ行列の固有値の実部が0でない場合には、一般に可能である。 この講演では、双曲型と非双曲型の場合を統一的に扱う枠組みを与え、構成されたLyapunov関数の定義域の同定を行うために、4次以上の項の負値性を精度保証で検証する方法を新たに導出する。 さらに、非双曲型平衡点から双曲型平衡点へのヘテロクリニック軌道の検証を例示して局所Lyapunov関数と精度保証法の組み合わせの意義を示したい。 なお、非双曲型平衡点に対する局所Lyapunov関数の構成法については次の講演に譲る。
非双曲平衡点をもつ力学系に対するLyapunov関数の構成非双曲型の平衡点をもつ力学系に対しては、一般的な方法を用いてLyapunov関数を構成することはできない。 また、その場合局所Lyapunov関数についても必ずしも存在するとは言えない。 そこで本講演では、力学系における標準形理論を援用し、非双曲型平衡点をもつ力学系に対する狭義の局所Lyapunov関数を構成するための十分条件と、これを与える変数変換について考察する。
辺または一点に特異性を持つ2変数関数の精度保証付き二重積分まず、長方形領域で定義され、辺にベキ型の特異性を持つような2変数関数について、その二重積分を精度保証付きで行う方法を示す。次に、ある一点でベキ型の特異性を持つような2変数関数について、辺の特異性を持つように変数変換を施すことによって、精度保証付きで二重積分を行えることを示す。いずれについても、数値例でその有効性を示す。
モンテカルロ木探索、深さ優先探索およびその応用と並列化探索アルゴリズムの並列化手法と応用について述べる。 まず並列深さ優先探索による数値制約充足問題とデータマイニングへの応用について紹介する。 また、AlphaGo等も用いているモンテカルロ木探索について、アルゴリズムの 概要を解説した後、並列化手法について解説する。
Numerical Inclusion Method of Exact Periodic Solutions for the Delayed Action Oscillator of A Simple Model of El Niño
線形熱方程式の時間周期解に対する近似解の事前誤差評価について線形熱方程式の時間周期解に対する近似解の事前誤差評価法を提案する.提案手法は発表者らがこれまでに提案してきた行列指数関数を用いた微分方程式の初期値境界値問題に対する精度保証付き数値計算法を拡張して応用したものであり,空間方向の有限要素近似における誤差評価と,時間方向の補間における誤差評価とを組み合わせることで周期解の全離散近似における誤差評価を行うものである.※前回NVR2018で紹介したものより良い誤差評価です.
曲有限要素空間の構成についてZlámal (1973) による曲有限要素空間は,曲線で囲まれた領域における偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算に有効活用できることが分かってきた.最近,これを Liu-Oishi (2013) の方法と組み合わせ,そのような領域におけるラプラシアンの固有値を包含する区間の計算法を提案した.本報告では,「正当な」曲有限要素空間を構成するための諸注意を述べる.特に,もとの領域とその三角形分割された領域との「差」が小さければ「正当な」空間を構成できることを説明し,その「差」の小ささを確認するための計算可能な量を導入する.
尾崎スキームによる高精度BLAS実装「OzBLAS」とその応用「OzBLAS」は我々が開発を進めている尾崎スキームに基づく高精度かつ再現性のある高性能BLAS実装である. 現在,CPUおよびGPU(CUDA)において,DOT, GEMV, GEMM, CSRMVを提供する.本講演ではCG法における応用例を紹介するとともに,HPC業界の近年の動向を交えながら,現在検討している他の応用の可能性を議論する.