精度保証付き二重積分について長方形領域および三角形領域での精度保証付き二重積分のいくつかの方法を示し、 その優劣について考察する。
非多項式有限要素基底の積分値の包含法とその応用偏微分方程式の境界値問題の解を高精度に近似する,また,精度保証付き数値計算をする際,領域形状と境界条件に応じた有限要素基底を使うとその誤差評価が明解になる. 一方,行列に現れる積分の被積分関数は多項式ではないため,数値積分誤差の把握が必要になる. 本報告では,曲線で囲まれた領域,凹角を含む領域,混合境界条件に応じた基底関数を紹介し,kv ライブラリに実装されている関数と関連する手法を使う,これらの積分値の包含法を紹介する.
半線形楕円型偏微分方程式の線形化作用素L:D(Δ)→L2に対するSchur補元を用いた逆作用素の表現方法講演者らは2年前の本研究集会にて半線形楕円型偏微分方程式の弱い意味での 線形化作用素L:H10→H-1に対し, Schur補元を用いた逆作用素の表現法を紹介した. 本講演では,強い意味での線形化作用素L:D(Δ)→L2の特徴である L2射影を生かした表現方法を紹介する. また,本手法がガウスの消去法と一致することも紹介する.
重調和方程式に対するLegendre多項式を用いた構成的誤差評価2次元領域における線形重調和方程式を考えます。Legendre多項式により基底が構成される有限次元部分空間を設定し,重調和問題の真の解と近似解に対する構成的誤差評価を与えます。 ただし、この誤差評価は、期待する収束オーダーとなっていません。 そのため、最終目標である非線形重調和方程式への適用に課題が残り、困っています。 本講演では、 「なぜ期待する収束オーダーとならないのか? どうすればいいのか。」 を、参加されるみなさんに解明していただければと思います。
LU分解を用いた疎行列向けの精度保証付き数値計算法とその応用連立一次方程式と最小二乗問題におけるLU分解を用いた疎行列向けの精度保証付き数値計算法を紹介し、その応用先の問題について述べる。
AVX2を用いた高速な倍々精度疎行列計算ソフトウェアの開発と構造解析ソフトウェアへの応用高精度演算を用いれば反復解法の収束を改善できるが,高精度演算は計算時間やプログラム上で高精度型を扱うためのインタフェースが問題となる. 我々はSIMD拡張命令AVX2を用いて高精度演算の実装手法の一つである倍々精度演算を高速化し,高速な疎行列やベクトルに対する倍々精度演算を使えるソフトウェア:DD-AVX v3を開発している. 本発表ではDD-AVX v3の性能や仕様について紹介し,応用例として有限要素法ソフトウェアFrontISTRに適用した際の構造解析に由来する疎行列に対する共役勾配法の性能や収束改善効果について述べる.
尾崎スキームによるbinary128行列積IEEE 754-2008 binary128を入出力とする行列積を,GCCのソフトウェアエミュレーションと尾崎スキームを用いてx86 CPU上に実装した. 尾崎スキームによって計算の大部分はIntel MKLのDGEMMで実行される. 講演では既存の4倍精度行列積実装と性能を比較した結果,GPUアクセラレーション,そしてさらなる高速化への展望について述べる.
GPUを用いた行列積のエラーフリー変換とその応用GPUは優れた計算資源として知られており,最近の性能向上は著しい. 特に,単精度演算が倍精度演算に対して非常に高速なGPUがあり,さらに近年ではTensorコアを搭載したGPUも多い. 本講演では,Tensorコアを用いた計算が行列積のエラーフリー変換に有用であることをまず紹介する. また,単精度行列積を用いて倍精度行列積相当の結果を求める方法,さらに倍精度演算の結果を少々改善したい場合の高速な混合精度計算法を紹介する.
非双曲型平衡点・不動点を持つ系のLyapunov関数について著者らは、非双曲型平衡点を持つ連続力学系において、その平衡点近傍での Lyapunov関数の精度保証による構成法の研究を進め、すでに成果が出始めている。 この講演では、離散力学系の扱いを含め、本研究の最近の話題や発展の方向性について 解説する。
Global dynamics in a quadratic nonlinear Schrödinger equation精度保証付き数値計算を用いて、ゲージ不変でない2次の非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式の解の大域的ふるまいを紹介する。 平衡解近傍の不安定多様体を力学系の技巧であるParametrization methodで構成し、厳密な求積法により解の大域存在が示せる捕捉領域への接続を示すことで、大域的ふるまいを計算機援用証明する。 本講演はJonathan Jaquette氏 (Boston大学, USA)、Jean-Philippe Lessard氏 (McGill大学, Canada)との共同研究に基づいている。
時間遅れを考慮に入れたBurgers方程式の大域解について交通流の数理モデルの1つとしてBurgers方程式がよく知られている. 本講演では,そのモデルに運転手の反応遅れを考慮に入れたBurgers方程式について考察を行い,得られた時間大域解の存在定理を紹介する.
エルニーニョを記述する強制遅延微分方程式の分数調波解の存在の計算機援用証明様々な分岐現象の発生を観察し、分数調波解の存在の計算機援用証明を行う。
強制外力のある遅延Duffing方程式の逆分岐ダイアグラム問題と分数調波解の存在の計算機援用証明逆分岐ダイアグラム問題を提唱し、その解のシミュレーションを行う。 Neimark-Sacker分岐やカオスの発生を含む様々な分岐現象について報告する。 そして、分数調波解の存在の計算機援用証明を行う。
1次元Hénon方程式の正値対称解のモース指数と対称性破壊分岐についてHénon方程式は, そのポテンシャルの指数が大きいとき, 正値非対称解をもつ. その非対称解は対称解から分岐して現れることが自然に予想される. 実際, 3次元以上の場合は,Amadori-Gladiali (2014) によって, そのことが示されている. 本発表では,1次元 Hénon方程式の正値対称解のモース指数を調べる一つの方法を紹介する. その結果,正値対称解から正値非対称解が分岐することも導かれる.
精度保証付き数値計算を用いたHénon方程式の対称性に関する考察Hénon方程式はあるパラメータ値を十分に大きくした時に解の対称性破壊が起こると予想される方程式である。 本公演では、Hénon方程式の多重解をそれぞれNewton-Kantorovichの定理に基づいて存在証明、対称性分類した結果を紹介し、解の対称性がパラメータ値や領域の形状にどのように依存するのか考察する。
エノン方程式の解に対する正値性検証法有界領域上におけるエノン方程式のディリクレ境界値問題を対象とし、その精度保証された弱解の正値性検証法について考察する。 ここで「精度保証」とは、対象問題の近似解を数値的に計算し、それを中心とした超球内における真の解の存在性を証明することを意味する。 十分非負に近い近似解に対して十分に精度の良い結果が得られれば、精度保証された真の解の正値性が同時に証明されることを示す。