2014/10/09(木)kv-0.4.10
webデモ内でlog(対数)が使えなかったバグが見つかったので、修正しました。これはkvライブラリ本体ではなくCGIで書いたpythonからC++へのコンバータのバグなので、本体の問題ではありません。
ライブラリ本体の方はlgammaを追加したり、特異点を持つ関数の数値積分関連を整理したりしてますが、これらはまだ発展途上でドキュメントもありません。更新が落ち着いたらきちんと書きたいと考えています。
2014/10/01(水)山梨精度保証研究会のスライド
yamanashi.pdf
kvライブラリの簡単な説明、使い方 + jsiam2013のスライドからODEの説明を引用、の構成です。他の資料やホワイトボードも使ったのでこのスライドでしゃべった内容を網羅してるわけではありません。(スライドを作っていて途中で力尽きた、とも言う。)
なお、kvライブラリのガンマ関数の部分(gamma, digamma, trigamma)はまだまだ完成度が低く、現在改良中です。今のバージョンはあまり信用しない方がいいかも。
2014/09/15(月)kv-0.4.9
今回は、ポアンカレマップや周期解などの常微分方程式の射撃法による精度保証付き解法の使い方の解説を頑張って書きました。他にも、KrawczykやODEのcallbackの解説を加筆しています。
ライブラリ本体は、ode-affine.hppのステップ幅コントロールのバグfix、gamma関数の改良などです。gamma関数の負の領域の実装が手抜きで極値を含むような大きめの区間を与えたときに非常に大きな区間が返ってきていたのですが、きちんと極値を意識した実装にしました。このためにtrigammaの作成が必要になったのでこれも作成しました。内部ではdigammaのゼロ点をKrawczyk法で精度保証しています。
今日から山梨で研究会です。この研究会についても書けることがあれば書きたいと思います。
2014/08/01(金)kv-0.4.8
newton.hppをちょっと直した、mpfrのラッパーを書いた、ODEの初期値問題の使い方を詳細に書いた、くらいが主な変更です。
ODEの初期値問題はいろいろな解法を試したかったせいで多数のプログラムを作成しており、自分でも思い出しながら使い方を書くのは大変でした。初期値問題のみで、それを使った境界値問題や周期解の問題に対するshooting methodの話はまだです。これらも早く書きたい。
また、MPFRの簡単なラッパーを書き、interval型の両端の数として使えるように整えて、double, dd以外の第3の選択肢を提供しました。以前boost.intervalにmpfrcppを組み合わせて出来ていたことが出来なくなっていたので、早く書きたいと思っていたライブラリの一つです。ラッパーそのものはほぼ一日で書き上がりました。
重めの全解探索問題 (example/test-nishi.cc の5つの解を持つ非線形回路方程式) でベンチマークを取ってみました。
5.96sec (double, -DKV_FASTROUND -DNDEBUG -O3)
29.9sec (dd, -DKV_FASTROUND -DNDEBUG -O3)
326sec (mpfr<53>, -DNDEBUG -O3)
415sec (mpfr<106>, -DNDEBUG -O3)
これを見ると、53bit (doubleと同じ) や106bit (ddと同じ) くらいの精度では遅すぎてMPFRを使う意味はなさそうです。106bitよりも更に高精度が必要な問題に対して仕方なく使うような感じでしょうか。
2014/07/29(火)数値解析セミナー
力学系の解析に常微分方程式の精度保証を使っている話で、いろいろ勉強になると思ったからです。
講演の前半で、
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016727890200372X
の論文の7章で数値的に捉えられた周期解を精度保証した例が出てきました。
微分方程式
の周期解をというポアンカレ断面を用いたポアンカレマップの不動点として精度保証するものです。
講演を聞きながら手を動かして精度保証してみようということで頑張ったら、何とか出来ました。
craik.zip
これが聞きながら作ったファイルです。これとkvライブラリがあれば動くはずです。実行すると、
x: [8.0430011130278842,8.0430011130790487]
y: [0.49999999999907257,0.50000000000095291]
z: [-7.0430011130790469,-7.043001113027886]
t: [2.5356798931197284,2.5356798931353897])
が精度保証された解として見つかりました。(x,y,z)はポアンカレ断面上の点で、tが周期です。
Taylor展開の次数は30次ほど必要で、結構難しめの問題でした。
ポアンカレマップに対してKrawczyk法を用いて周期解を精度保証するライブラリは出来ているのですが、
これに関するドキュメントが未整備で自分しか使えない状態になっているのが問題。早く書かないとなあ。